東京高等裁判所 昭和26年(ネ)1747号 判決
控訴人は、被控訴人泰文社との右契約は、明渡猶予の契約であり、仮に賃貸借契約だとしても上記東京区裁判所での和解契約の文言によつて、昭和二十三年十月二十日に終了したと主張し、被控訴人等は右和解契約によつて新な賃貸借契約を締結したものであると主張するから判断する。原審証人津田義治、当審証人小堀潯の各証言及び当審での控訴人本人尋問の結果中控訴人の主張に添う点は、成立に争のない甲第一号証の文言に照し合わせても信用ができないし、右各供述をおけば外に控訴人主張のような事実を認めることのできるなんの証拠もない。右甲第一号証の文言と原審と当審での被控訴人篠崎好の尋問の結果(後記信用しない部分を除く)によれば、右和解調書の趣旨は、借地法第六条、第一七条により小泉たきの賃借権は昭和六年十二月一日に更新していたか、否やについて争があつたから、その当時から引続いて同人に本件土地を賃貸するとの趣旨で、期間を一応昭和二十三年十月二十日までと定めたことを認めることができる。原審と当審での被控訴人篠崎好の本人尋問の結果中右認定に反する部分は上掲各証拠に照し合わせて信用ができない。しかしながら、借地法第五条、第一一条によれば二十年より短い期間を定めた右期間の点は効力なく、右期間は昭和六年十二月一日から二十年である昭和二十六年十一月三十日迄となると解すべきである。
もつとも、控訴人はこの点について裁判上の和解の場合には借地法の右規定の適用は排除されると主張するが、裁判上の和解でもその内容が借地法の施行されている宅地の賃貸借については、同法は当然適用されるのであるからこの点に関する控訴人の主張は理由がない。